旅館を始める際に気を付けたい衛生管理基準について
旅館ホテル、簡易宿所、下宿営業を行うには、旅館業の許可を取得する必要がありますが、旅館の内部の間取りや設計を考える際には、建築基準法、消防法、旅館業法の基準の他に、旅館業の衛生管理基準にも気を付けてデザインする必要があります。
この衛生管理基準は、厚生省(当時)から平成12年12月5日に出た通知で、何度かの改正を経ている通知です。
ここでは、その通知の中で、特に留意しなければならない事項として記載されている、『入浴施設についてのポイント』をご紹介します。
近年の入浴施設では、湯水の節約を行うため、ろ過器を中心とする設備や湯水を再利用するために一時的に貯留する槽(タンク)配管など、複雑な循環系を構成することが多くなっています。
また、温泉水を利用する設備や、湯を豊富にみせるための演出や露天風呂、ジャグジーや打たせ湯の設置などの様々な工夫により、入浴者を楽しませる設備が設置されるようになってきている事もあり、これらの設備について、今までのレジオネラ症の発生事例を踏まえた上での衛生管理や構造設備上の措置を、十分行う必要があります。
浴槽水を汚染する微生物は、入浴者の体表に付着する方法や、土ぼこりと一緒に露天風呂などから入浴施設に侵入します。温泉水等を利用する施設で一時的に湯を貯留する設備を設けると、それが微生物に汚染されやすくなります。
そのため、これらの設備は、土ぼこりが入りにくくしたり、清掃や消毒を十分行う対策を取る必要があります。
また、ろ過器、浴槽や配管の内壁等に定着して増殖した微生物や菌は、消毒薬に耐性のあるものも存在するため、浴槽水を消毒するだけではレジオネラ属菌等の微生物の繁殖を完全に防ぐことができません。
そのため、浴槽水の消毒のみならず付着している汚れを定期的に清掃して衛生を保つようにする必要があります。
ジャグジーや打たせ湯等は、エアロゾルを発生させ、レジオネラ属菌感染の原因ともなりやすいので、連日使用している浴槽水でジャグジー等の使用を控えたり、打たせ湯等で再利用された浴槽水の使用を控えるなど、汚染された湯水によるレジオネラ属菌の感染の機会を減らすことが必要とされています。